『テロ,ライブ』を観る。久しぶりに韓国映画を観た気がするけれど、題名から何となく察せられる通り、劇場型のテロ行為を中継することになったキャスターを主人公に据えたサスペンスで、今どきテレビ局の視聴率至上主義を題材にしていたりする。テレビ人種をデフォルメした極端なキャラクターが物語を支配しているセンスの古さが気になるし、殺伐として極端に即物的な人間関係が韓国社会の実相だとすればちょっと心配になるくらいだけれど、クライマックスにかけては大ネタが仕込んであってそれだけでは終わらない。かなりやり過ぎという感じがあるにせよ、舞台となっているスタジオで話を完結させているのは立派といえなくもなく、荒唐無稽なストーリーを成立させるための無理が祟ったのだと思えば前半の類型的な展開もやむなしかという気がしなくもないが、状況を現出させるための無理によって失われているものは少なくない。今や語弊があり死語でもあると思うのだけれど「漫画的」という言葉を使ったらしっくりくる印象の結末ではあるまいか。