『トランセンデンス』を観る。人工知能が人間を超えるというシンギュラリティ問題をテーマとした映画で、時節に合っているし、結構な豪華キャストである。ジョニー=デップはともかくとしてレベッカ=ホールとポール=ベタニー、キリアン=マーフィが出演しているあたりは実に豪勢なものだ。だがしかし、題材の料理の仕方はディープラーニング以前のAIでやけに古風な印象が拭えず、2010年代のSFとは思えない。サスペンスのほうも、やけに意識の高い反テクノロジー団体がそもそもあり得ない印象でかなり辛い。ネットのイメージには『イノセンス』の影響が窺われるが、それまでで、むしろ爪の垢でも煎じて呑んだほうがよい。後半の超展開にどのような収拾をつけるつもりかと思っていたのだけれど、特に収拾はついていないみたい。