『パッション』を観る。のりにのっているレイチェル=マクアダムスと『ミレニアム』のノオミ=ラパスが共演しているけれど、この映画は役者よりブライアン=デ・パルマ監督のものであろう。特に中盤以降は急速にデ・パルマ節が強くなって、ひどく懐かしいサスペンスを観たような気さえしたものである。
バレエの舞台と犯行シーンを重ねるあたりはともかく、捜査が始まるや急速にドイツ語化してカフカ的世界を現出させてみたり、意外にアイディアがあって、いろいろと芸が細かく感心する。このところの諸作に比べると原点回帰した印象があり、なかなか楽しめる。