パレードへようこそ

『パレードへようこそ』を観る。ビル=ナイの出演している映画は無条件で観ているけれど、このたびはいつもとだいぶ異なる役回りで、しかしあの眉をくいっとあげてみせる表情でキレイに最後は決め、変わらずカッコいい。
サッチャー政権下の炭鉱ストを支援したレズビアンとゲイの活動家グループが、支援される側の炭鉱労働者組合に持ち込んだ葛藤をコミカルに描き、しかしメッセージは大変に真面目な映画で目頭が熱くなることも幾たびか。冒頭20分以内、ウェールズの田舎からそうと知らず出てきてホモセクシャルの集団の前で謝意を表することになったパディ=コンシダインのスピーチから既にして泣きそうになっている。
炭鉱ストを描いた映画には名作が幾つもあるけれど、これもそれに連なる作品であることは間違いなく、エピソードは実話をもとにしてLGBT映画としても傑作であり、万人にお勧めできる内容にもなっている。たかだか20-30年前、性的マイノリティに対する差別はかくも公然と、時に暴力的に行われていたのであり、そう考えれば社会運動というのは決して無力ではない。

夕暮れ