ビザンチウム

『ビザンチウム』を観る。シアーシャ=ローナンが200年を生きるヴァンパイアを演じて、どこか『モールス』に連なる雰囲気があるのだけれど、あれよりも歴史視点の多い語り口で舞台装置も手が込んでいる。後半の語りは突然、ハリウッド風となって予想外だけれど結構、面白い。
姉を自称するもう一人のヴァンパイアがジェマ=アータートンで、こちらはカーミラという偽名を使ったり、因縁のある男の名前ダーヴェルはバイロンが書きポリドリが『吸血鬼』のもとにした小説に登場する謎の男と同じだし、ブラム=ストーカーの『ドラキュラ』とは異なる系譜の吸血鬼を指向しているあたりが見え、マニアックなところに好感がもてる。おそらく、もとは『吸血鬼カーミラ』の変奏なのだけれど、ラストの10分程度を除けば現代の吸血鬼ものとして、なかなかの雰囲気を醸し出している。

初雪