ブルックリンの恋人たち

『ブルックリンの恋人たち』を観る。アン=ハサウェイが主演で舞台はほぼブルックリン。弟が交通事故で昏睡状態となったことをきっかけにニューヨークに戻ってきた主人公が、弟の足跡を追って街を彷徨うという話なので、もちろんコメディの要素はないのだけれど、悲劇的な事件は既に起こっている時間軸での話なので、ゆっくりと光の射す方へのぼっていく暖かさがあって暗過ぎない。
弟が私淑していたのがジョニー=フリンの演じるミュージシャンで、この男と恋に落ちるという成り行きだけれど、ジョニー=フリンその人はシャイな音楽オタクという雰囲気で目つきがちょっとアブない。とはいえ、押しの強いところはカケラもなくて、いい人であるには違いないし、全体には人類学を学んでいるという主人公の設定がうまくいきており、音楽を通じた祈りの雰囲気が横溢していて悪くない。

ラムネ