『ロング・グッドバイ』を観る。最近、観た『インヒアレント・ヴァイス』にはやはり本作をなぞっているところがたくさんあるみたい。
エリオット=グールドのマーロウは、マーロウというより深町丈太郎そのもので、無論シャーク深町のほうがこちらをモデルにしているわけだが、“It’s OK with me.”が口癖のマーロウを、コアなチャンドラーファンがwrong呼ばわりするのは仕方ないにして、これほどまでに繰り返しタバコの火を点けては吸う主人公を追いながら、画面に飽きず弛んだところがないというのは、映画としてもなかなかすごいことである。カメラは常に動いており、自在にリズムを作り出している。
若きアーノルド=シュワルツェネッガーが端役で登場して無意味に存在をアピールしている。即興的な印象は全編にあって悪くない。