京都の朝はほどほどに賑やかで、行き交うひとの流れにのって近くの珈琲店でモーニングをいただく。クロワッサンとコーヒーの朝食をとりながら本日の行動予定を検討して一路、比叡山延暦寺へ。
比叡山ドライブウェイは急峻な有料道路で、都の鬼門だか知らないが、この山間に山門を築こうという決意にまず戦慄するほかない。モータリゼーションの威力により現代では紛れもなく観光地化しているとはいっても、総本堂たる根本中堂の威容は揺るぎなく、堂内の内陣は一層暗い中に本尊と共に不滅の法灯が浮かび、これを同じ高さの中陣から参詣する天台造の珍しい構造は読経の響きもあって独特の世界観を現出しており、畏敬の念は自然と生じる。
その上で、鎮護国家思想や「一隅を照らす」という理念が重なってくる歴史の地層は分厚く十分にこれを堪能。