『世界の終わりの七日間』を最後まで。タイトルそのまま、世界の終わりを目前に控え、しかし物語は小さな町の警察署を主な舞台にして地理的な展開はほとんどないのだけれど、小惑星衝突が地殻津波を引き起こす破局のイメージは影のように背後にあり、三部作の最終巻に至るこれまでの積み重ねは話に奥行きを加えていている。事件の真相は地上に現出した地獄のモチーフとともに明らかになり、その対照として何がしか救いのイメージのあるエピローグは心に残る。なかなかに考え抜かれた構造なのである。
忠実な犬のフーディニが満身創痍という状態にもかかわらず、主人公と過酷な旅を続けているのが痛々しく、世界が滅びることよりもそれが気鬱であったのだけれど、物語の途中で安息の地を得たことが嬉しくてそれだけでも随分と評価は上がった。