『私の男』を観る。『海炭市叙景』の熊切和嘉監督というあたりがポイントでおおかた北の映画になっているし、そもそも小説の『私の男』とはかなり趣が異なる。映画的に再構成されたストーリーはこれはこれでありと言えようが、邦画的に生々しいので疲れる。とはいえ、演出はお手本のようにわかりやすく力のあるものなので邦画の129分といってもテンションは維持されている。高良健吾の「上だけですよっ」のシーンはさすがにどうかと思うけれど、この意味不明のシーンの意味が了解されるというのはすごいと思うわけである。評判の浅野忠信だけでなく、役者はだれも熱演している。