『複製された男』を観る。このところジェイク=ギレンホールの出演している映画が続いているけれど、ジェイク=ギレンホールにとっても同じ年の『プリズナーズ』に続くドゥニ=ヴィルヌーヴ監督映画で、しかし毛色はだいぶ異なっている。何しろ原作はノーベル賞作家で『白い闇』のジョゼ=サラマーゴなので、通俗とみえて唐突にルイーズ=ブルジョワの彫刻みたいな蜘蛛が街を睥睨したりして一筋縄ではいかない。ラストも驚天動地の展開と言えようが、象徴の解釈をスクリーンの外で楽しむ類の話である。IMDbの掲示板もいろいろと賑やかなことになっているけれど、もちろん答えは何処にも書いていないので自分なりの理解をして楽しめばいいのである。そういう意味では日本版の惹句にあるような「心理ミステリー」とはちょっと違う。
昨日観た『アンダー・ザ・スキン』の難解がダメなのは、そもそも画のピースが揃っていないからというところがあるけれど、本作は最終的には噛み合わない幾つかの断片が出来上がる感じが面白い。こっちのほうはわりあい好きである。