『6才のボクが、大人になるまで』を観る。邦題はかなり的確な説明となっていて、時間軸としては小さな子供だった坊やが大学に入学するまでを扱っている。これに実時間と同じ12年という歳月をかけているところがミソで、ありそうなアイディアだったとして、実際にやり遂げるというのは偉業と言ってもよいのではないか。特殊効果ではなく、リアルに歳月を重ねた役者の仕事ぶりには一見の価値がある。ジャケットの写真にある天使のような坊やも、かなり速やかに生意気なガキになるが、そこに立ち上がるリアリティこそ見ものであろう。
ストーリーは奇をてらったものではなく、よくある家族の風景という感じだけれど、時間そのものを題材とした映画の狙いはよく達成されている。6歳から19歳まで、主人公のエラー=コルトレーン君は大きくこじれることもなく育ってなかなか好青年となっているし、その姉の役でリンクレイター監督その人の娘も出演していて、こちらもなかなか味わいのある演技をみせている。