『96時間/レクイエム』を観る。シリーズ化の端緒となったあの一作目は93分の尺だったのである。そのなかでリーアム=ニーソンが”I’ll kill you”と宣言してからの1時間の密度は大したものだったし、設定のヨーロッパ大陸的な酷薄さも際立っていたのだけれど、同じくリュック=ベッソンが脚本に入っているはずの本作は109分あるにしては妙に気の抜けたことになっていて、典型的なハリウッドサスペンスの域を出ていない。話のほうもアレだし、三部作と言わずとも、そろそろ潮時というものであろう。
元妻レノーアの現在の夫の役は、本作ではいかにも悪役っぽいダグレイ=スコットに交代となっていて、いきなりネタを割っている感が拭えないし、リーアム=ニーソンのキャリアも最近アクションに傾倒し過ぎの感があり、もはや意外性がないので見どころがない。異国で好き放題というのが流儀のシリーズだったけれど、本国では多少の遠慮があるみたいなのもどうなのか。