『MI5: 灼熱のコンスパイラシー』を観る。『Page eight』に続くJohnny Worrickerのシリーズで、原題は『Turks & Caicos』。バハマ諸島の近くタークス・カイコス諸島を舞台として、イギリスの海外領土でありながら米国ドルを通貨としオフショア金融で栄える当地の状況を踏まえたストーリーで、CaicosにはCIAが絡んでくるあたりも暗示されていて(嘘)非常に含蓄のあるタイトルだと思うのだけれど。内容にも灼熱といったコケ脅しはなく、中米のリゾート地を舞台にしたBBCらしい大人のスパイスリラーとなっている。今やエスピオナージュの舞台は租税回避地なのである。
クリストファー=ウォーケンがベテランのCIAというのも渋いけれど、ビル=ナイは変わらずカッコよく、細かな仕草まで完璧であり、札束をレジ袋に無造作に突っ込んでいたりするスタイルも健在でこの一貫性は嬉しい。三作目も期待できそうな感じだし、年の暮れにあたり本作を今年一番の映画とすることにいささかの躊躇もなし。