知る人ぞ知るという感じになってしまっているのだけれど、BBC制作で『Page eight』という良質のエスピオナージュ映画があって、ビル=ナイが主人公のJohnny Worrickerを演じているこのドラマを偏愛しているのは重ねて表明している通り。
スパイと闘い、冷戦が終わるとテロと戦うことになったMI5の情報分析官が結局、相手にすることになるのは自国政府の国家に対する裏切りという話なのだけれど、対米従属路線をすすめる英国の状況は日本の現政権に重なり、これが全く他人事ではない。自己の利益と一体化した短期利潤と天秤にかけて国益を顧みることなく、売国的な政権が理念を踏みにじる構造をうまく扱っている。
クライマックスに流れる『I vow to thee, my country』には知れず、己が内なる愛国心が高揚するというものだが、本邦においてもこうした脚本が書かれるべき時期が来ているのではあるまいか。