青春期に一番聴いた音楽といえばチック=コリアとReturn to Foreverじゃないかという気がするのだけれど、これはもちろん島田荘司の影響を受けてのことで、つまり本読みとしては当時からミーハーだったのである。『異邦の騎士』を読み『浪漫の騎士』を聴き、もちろんウェス=モンゴメリーの『エアジン』を聴くというのは通常ルートというわけだけれど、ECMから出ていた『Return to Forever』をひたすら聴き続けていたのもこのあたり。
Apple MusicにRTF第4期のライブが収録されており全体では2時間近いこの内容で、チック=コリアも当時70歳だしスタンリー=クラークも60歳ということだけれど、時間は主に円熟の域に向かって流れていて、細部には現代的な変化の加わった『Romantic Warrior』は妙に艶っぽく、夜のしじま、これに聴き入る。