はじまりのうた

『はじまりのうた』を観る。『Once』のジョン=カーニーが再び脚本を書き、監督を務め、またもやアルバムの制作を題材にした映画だが、ダブリンではなくNYということもあってキャストはいきなり豪華になっている。キーラ=ナイトレイとマーク=ラファロがシンガーとプロデューサーの役回り。何しろ原題が『Begin Again』というくらいだから前作とは異なり復権のテーマが色濃く入っていて、いったい何があったのかと問いたいところだが、ジョン=カーニーというひとは音楽をつくる映画をつくるのが本当に好きなのだろうし、曲の使い方はよく嵌っている。キーラ=ナイトレイのボーカルもなかなかのものである。この元恋人役がマルーン5のアダム=レヴィーンで、こちらのパフォーマンスは本職である以上、不思議はないとして。『Once』が2,000万円の制作費で、そもそもヒットを期待されていなかった奇跡の作品である以上、今や実績のあるこの人がそれなりの費用をかけて撮る映画を同じ評価軸でみることは出来ないが、気持ちのいい仕上がりにはなっている。

パン屋