『イミテーション・ゲーム』を観る。ベネディクト=カンバーバッチのアラン=チューリングは適役過ぎてつまらないかとも思ったけれど悪くない。ブレッチリー・パークでの暗号解読を中心におきながら、チューリングの少年時代と戦後を往還させて緊迫感のある構成をつくっている。もちろんかなり自由な虚構のつくりだったとして、チューリングテストをモチーフとした取調室からのクライマックスは心に残る。アスペルガー症候群だったのではないかともいわれるこの天才の、掘り下げられたキャラクターは一応、伝記である『アラン・チューリング伝』を原作としつつ、しかし実際とはまるで違うと思うけれど、それらしくよく出来ている。キーラ=ナイトレイのジョーン=クラークもいい。暗号解読機bombeにクリストファーという名前をつけるというのはいささかやりすぎだとして、マーク=ストロングが抜け目のないMI6でエスピオナージュの雰囲気を醸す工夫もあったり、うまいことつくられたフィクションにはなっているのである。