インベーダー・サマー

70年代から80年代にかけてのソノラマ文庫を血肉として育ったような人間には往時の傑作がいくつもあるものだけれど、菊地秀行なら一連のシリーズものもさることながら『インベーダー・サマー』や『風の名はアムネジア』、『妖神グルメ』といった単発の作品はそれぞれが単独峰として完成度を誇るという印象でどれも捨てがたい。久しぶりに『インベーダー・サマー』を読んでみたのだけれど、作者を特徴づけるスタイルは既に完成したかたちでここにあり、やはり面白くて初期の傑作というべきだろう。90年代以降のこの作者については、ほぼ知らないと言わなければならないものの。