イン・ユア・アイズ

『イン・ユア・アイズ』を観る。ゾーイ=カザンの近作で、ファンとしては跨いで通るわけにもいかないというところ。とはいえ、脚本を書いた上に製作にまで入っている『ルビー・スパークス』を別格として、単にヒロインを演じる映画はイマイチという作品が多いのだが、これも例外にあらず、趣味嗜好からすると高評価をつけ難い最近の二作よりもさらにビミョーな感じで、ロマンスとしての結末を踏まえてなお、もやもやとした感じが拭えない。
何かしら繋がっており空間を超えて時に五感を共有する男女が、ニューハンプシャーとニューメキシコに隔たれつつ心を通わすという設定はおくとして、見どころは実質的に一人芝居となる二人のやりとりで、この芝居は悪くはないにして、徹頭徹尾盛り上がりに欠けるし特にオチというようなものもなく、唐突に列車は北に向かって走る。やれやれ。

冬