『ザ・ウォーク』を観る。ジョセフ=ゴードン・レヴィットの主演だろうと、ワールドトレードセンターでの綱渡りに至るフィリップ=プティの映画など、主に高度的な観点から観たくはないのだけれど、モデルとなった当人が存命であるという一点において救いはある。ロバート=ゼメキスによる映像化で3D版での上映がウリだったみたいだけれど、それこそ正気の沙汰とは思えないし、そもそもフィリップ=プティその人にはいかなる感情移入も出来ないにして。綱渡りの師たるパパ・ルディを演じたベン=キングズレーはちょっと怪しいチェコ人のオヤジを演じて存在感があるが、竣工時のワールドトレードセンターこそいわゆる影の主役というべきで、高評価を受けたドキュメンタリー『マン・オン・ワイヤー』と同じ題材で撮っている意味は3Dばかりではなく、おそらくそのあたりにある。