ザ・リディーマー

『ザ・リディーマー』を観る。チリの映画というのも珍しい。『処刑人』みたいな勧善懲悪もので、しかし勧善はほぼ存在せず、南米の殺伐とした社会における民衆の暗い願望のようでもある。アクションのキレはなかなかのものだけれど、全体のテンポはそれほどよいものではなくて万事がちょっとスロー。おまけに比較的な小悪にも容赦がないので言葉通りのオーバーキルになっている懸念があって、ちょっとひく。とはいえ、人間はだいぶロクでもない生き物だし、かつて日活にあった異界の気配が少しあるような気がして後半の雰囲気はそれほど悪くない。

諏訪湖