『ジェイソン・ボーン』を観る。一連の作品においてどう考えても『ボーン・レガシー』は余分だけれど一応それも数えるとボーン・シリーズとしては5作目で、しかし今回はマット=デイモンが主演の通常形に復帰して、何よりポール=グリーングラスが監督なので安心感がある。ジェイソン・ボーンそのひとの名を冠した力の入ったタイトルというべきだし、『アルティメイタム』で語り残したことが一体、何なのかという不思議もあって、いそいそと劇場に足を運んだのもこちらとしては結構、珍しいことだけれど、結局はこのシリーズのファンなのである。
結果、何か新しいアイディアが練り込まれていたかといえばそういう感想でもないのだけれど、ストーリーは活劇のために奉仕し、全編グリーングラス印のアクションが横溢しているので飽きることはない。
ニッキーことジュリア=スタイルズの扱いには納得のいかないところがあるのだけれど、CIA側のアリシア=ヴィカンダーがこれを補う役回りでなかなかカッコいいのでよしとする。
全体に焼き直しと紙一重、あるいはそのものといった物語構造ではあるけれど、ドル箱と期待されている作品を期待通りに撮っている印象があり、商業的には王道というものではあるまいか。キャストにも捻りは一切ないし、エンディングテーマもモービーのいつものやつ。