ターミネーター 新起動/ジェニシス

『ターミネーター 新起動/ジェニシス』を観る。30年前のコンテンツをいまさら消費し直そうという魂胆の映画といえば何だか品がないのだが、初代『ターミネーター』の序盤シーンを再現しながら、急速に別の景色が見え始めるあたりは本歌取りの楽しさがあってわりあい楽しめたのである。いきなり対物ライフルをぶっ放すなどという作劇は好みではあるけれど、最後までテンションが維持できているかといえばちょっと微妙で、後半は普通とみえなくもない。
そして、いい加減にした方がいいというくらい次々と続編は登場したものだけれど、タイムパラドクスという枠組みを本作は意外なほど蔑ろにしており、ひとときSF映画の中核にあったタイムパラドクスものについてはそもそも観客側のリテラシーが伝承されていないのではないかという疑いが浮上する。
そして語り直しにともなって役者交代となったカイル・リース情報軍曹については、この新作を踏まえると、かつてのマイケル=ビーンが表現していた寄る辺なさ、審判の日以降の荒涼というようなものが改めて認識されるというわけで、言いたくないがCGがキレイになったところでドラマが深まるというわけではないみたい。

庭