『ディバイナー 戦禍に光を求めて』を観る。ラッセル=クロウの初監督作品で、オーストラリアとニュージーランドが初めて海外で戦うことになった第一次世界大戦中のダーダネルス戦役を題材にして、その4年後、ガリポリ半島で戦死した三人の息子を探す父親を本人が演じている。オスマントルコの残照というべき歴史上の出来事を扱っているとはいえ、イスラーム文化とのファーストコンタクトという現代的なテーマを内包したものであり脚本の奥行きは深い。激戦地チャナッカレでの戦闘は旅順要塞の攻防のような凄惨さで描かれ、時間軸も交錯しながら話はすすむが、演出はわかりやすく手際良い。悪くない仕事ぶりだと思うのである。ダウジングで水源を探し出すエピソードが描かれ、タイトルにもなっているが、このパラノーマリティが後の偶然に説明をつけているあたりもうまい。
土地柄と題材から『村田エフェンディ滞土録』を思い出したけれど、そういえばこのあたりを埋めてくれる作品は少ない。佳作。