『デッドハング』を観る。90分の小ぶりなスリラーだけれど、ジャケットにはビルの外壁を背にして絶体絶命の女性が描かれているものだから、高所恐怖症を自認する者としては嫌な予感しかないのだけれど、意外なことに本編にそうしたシーンはなく、高層ビルのエレベーターを主な舞台とした閉鎖状況ものでつまりちょっとしたジャケ詐欺というわけである。話の方はよくよく考えるとどうってことないのだけれど、何しろコンパクトなのでそれほど悪い印象はない。主人公役のセーラ=バトラーが、ガチの殴り合いをしてくれるのではないかという冒頭のシーンが全体の興味を持続させている感じで、この対決を回避するための装置としてエレベーターが機能しているのだけれど、わりあい面白い効果を生んでいる。
警備員室のシーンでは不自然な前後のつながりがあるけれど、そのあたりはいかにも低予算映画という雰囲気でご愛嬌。