ノーザン・リミット・ライン 南北海戦

『ノーザン・リミット・ライン』を観る。2002年、W杯の最中に北方限界線の黄海延坪島付近で起きた哨戒艇による武力衝突を題材にして、攻撃を受けて沈没することになる韓国の357号艇の顛末を描いている。130分のうち、海戦が始まるまで80分あって、正直なところこれが長い。
映画の趣旨は、どうやらW杯の熱狂の中で国民から忘れられた357号艇の悲劇をリマインドすることにあって、防御も回避もない殴り合いといった感じの悲惨な砲戦を念入りに描いている。ちょっと演出過剰ではないかという印象があるし、事実よりも死者が多く見えるのだが、どうなのか。実際の葬儀のシーンを使ったりする一方で、知りようのないあれこれを盛り込んで撃ち合いを盛り上げようというのもどうかと思うけれど、愛国心を煽る意図があるとしても、韓国海軍の練度そのものはかなり深刻な問題を抱えているように見える。

かすみ草