『ハッピーエンドの選び方』を観る。老いと終末医療をテーマとしたイスラエルの映画で、題材への取り組みは真正面で基本的にシリアスであるものの、ある種の切実さから生じるユーモアがほのかな明るさを醸し出して悪くない。主人公の妻の認知症が徐々にあらわれてくるおそろしさは覆いようもないにして。人生は暗く長い河。最終的にはかなり広義の尊厳死に話が及ぶあたりは議論が分かれるとは思うけれど、難しい内容を扱ってきちんとした奥行きをつくっている緻密な脚本もさることながら、役者の仕事は相当にレベルが高い。よくできていると思うのである。