バケモノの子

『バケモノの子』を観る。何やら獣人らしきものが出てくる話というくらいの予備知識しかなかったのだけれど、細田守監督らしく作り込まれた世界観で絵もよく動いており楽しい。前作を観たときにも感じたのだけれど、細田監督の脚本は社会のあり方にコミットしようとしているようで、『おおかみこどもの雨と雪』は共同体とその成員の話になっているし、本作は学びと師の話で、いずれも倫理的な奥行きを喚んでいる。母親のマボロシがあらわれて、まず師の真似をするという天啓を与えるシーンがあるけれど、修行目的を設定するのではなく、修行のための修行をするという流れはハリウッドあたりの精神性では理解できまい。よろしいのではないだろうか。