『ブラック・スキャンダル』を観る。FBIがアイルランドギャングと手を組んでイタリアンマフィアを潰したはいいが、抜き差しならない泥沼にハマってしまったという実話をもとにした映画。ジョニー=デップが頭髪の薄いギャングのボスを演じ、いつもとはだいぶ違う雰囲気を醸し出している。だがしかしそれはモデルとなっている実在のジェームズ=バルジャーとは似ても似つかないのではないかという感じもまたあって、良くも悪くもジョニー=デップその人の映画なのである。
監督は『ファーナス』のスコット=クーパーで、比較的に重い題材を扱いながら人間関係を書き込み、エンターテイメントとしても成立しているあたりの雰囲気は良く似ている。ベネディクト=カンバーバッチが州の上院議会会長まで務めた弟の役だけれど、123分の尺では同じく興味深いこの人物を描くところまではさすがにいっておらず、出番もあまりないことは残念。