『ヘイトフル・エイト』を観る。168分というのは長すぎるのではないかという意見ももっともだとして、タランティーノであるからには仕方なく、意味なしトークもたっぷりあるのだけれど、仮にこれらを削除したらタランティーノのフィルムのようにはみえないであろう。西部劇であり密室劇である本作に類似の作品は思いつかないけれど、なるほど監督本人が言うように『遊星からの物体X』が本歌だとすると、カート=ラッセルが出演していること以上に腑に落ちることが多い。雪原の西部劇の体裁をとった『遊星からの物体X』と『レザボア・ドッグス』といえば、だいたいそんな感じ。これをUltra Panavision 70の2.76:1というアスペクト比で撮っているところがポイントで、映画好きは画面の遷移だけでも観られるという、変態チックな映画になっている。