ボーイ・ソプラノ

『ボーイ・ソプラノ』を観る。ダスティン=ホフマンが少年合唱団を擁する寄宿学校の指揮者の役で、心を閉ざした主人公の才能を引き出し、ボーイ・ソプラノという一瞬のギフトを糧として生き方を伝える、という粗筋から想像される通りの内容で話はすすむ。意地悪なリードソプラノの存在と確執まで想定通りで、型にはまった少女漫画のようだけれど、そういう意味では期待通りともいえジャンル映画としてはよくできている。ライバルがソロに抜擢された主人公の楽譜を隠すというエピソードまであると、ある種の開き直りさえ感じるのだけれど、もしかしたら穿ち過ぎかも知れない。
主人公を演じているのはオーディションで選ばれたボーイ・ソプラノの持ち主で、撮影中にも身長が伸びたのではあるまいかという感じだけれど声は出ている。キャシー=ベイツの校長とか、『Glee』のケヴィン=マクヘイルの先生とか、全体に鉄板のキャストという印象。ボーイ・ソプラノと宗教音楽というのは欧米に形成された独特の文化とみえて、寄宿学校の生態そのものもちょっと興味深い。そういえばNational boys choirが国立少年合唱団という字幕になっていたけど、もちろんそんなはずはない。

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