『ムード・インディゴ うたかたの日々』を観る。ミシェル=ゴンドリーによるボリス=ヴィアンの『うたかたの日々』の映像化。95分の尺になっているインターナショナル版を観たのだけれど、ディレクターズカット版は131分あるらしい。観たいような、そうでないような、というわけで『恋愛睡眠のすすめ』をずいぶんと先鋭化したような不思議ワールドが展開していて、『エターナル・サンシャイン』のように万人に勧めることができる世界を軽く逸脱している。合わない向きには全く合わないと思うけれど、監督の脳内を現出させる作業だけでも大変な苦労があったに違いないし、ハリウッドでは決して作ることができない映画にはなっている。まず暴動が起こるであろう。やりすぎ。しかし、そのやりすぎを除けばいけ好かないフランス語のダイアログしか残らないので、それはそれで困るし、ミシェル=ゴンドリー以外の何者でもないことに価値があるのは間違いない。これに比べれば、それが三池崇史であれ素人同然というべきであろう。
しかし原作と同様、本作の見どころは後半にかけての変調であり、冒頭のボリス=ヴィアンのエピグラフにを想起して円環を閉じるつくりになっていて味わい深い。