この稼業であればWord/Excel/PowerPointのOffice Suitは機能の隅々まで熟知していることは当然として、自分の端末には生産性をサポートする拡張機能の幾つかも仕込んであるタイプの人間だが、時節としてプレゼンの素材がにわかに量産される時間帯となり、イメージ通りの仕上げをしたいユーザーから操作法の質問を受けることもままある。
今日の午後、かつて仕事で行きあったことのあるひとから久しぶりの電話をもらい、数年ぶりの久闊を叙する挨拶に続いては、テクニック的にも難関のひとつ、PowerPointのグラフでいい按配の配色を実現する方法について質問をされたわけである。
電話越しのレクチャーで、マスターの配色を変更する方法をわかってもらうのは無論のこと困難であり、結局は遠い居室から出かけてもらって、実地での指導と相成る。
いや、そんなことは何でもないことだし、言ってしまえば数分の仕事ではあるのだけれど、さきほど電話で、旧交を温める挨拶をしてくれたそのひとが、目の前でパソコンを覗き込み、うれしそうに動作の確認をしているその横顔を眺めつつ、いや数年ぶりどころか、1年前のちょうど同じ時期、まったく同じような質問があって今回と同様の対応をしていたので、何だか怖くなっていた。