『レヴェナント 蘇りし者』を観る。レオナルド=ディカプリオがついにオスカーを獲った作品でもあるけれど突如、開眼したという感じでもなくて、彼のいつもの演技だし、なにしろ重傷を負っての孤独なサバイバルであればでセリフは極端に少ない。してみると饒舌であるのはいかんということなのか。
モデルとなったヒュー=グラスが実在した人物であることを知らなかったのだけれど、グリズリーに襲われ仲間に棄ておかれたあたりは実際の話みたいなので、まずそこに震撼している。ほぼロケで、自然光で撮ったであろう映像は生存にはあまりにも過酷な自然環境を写しとっていて、似た状況を300キロ踏破して生還したというのであれば、その実話には感嘆するほかない。
それはともかく、イニャリトゥ監督の仕事は『バードマン』とはだいぶ異なった印象なのだけれど、オスカーの威光もあったとして、ずいぶんと手の込んだ仕事になっており、テレンス=マリックばりの映像美でも才気があるところをみせている。直線を引いたようなストーリーながら156分の尺があるのだけれど長くない。