『小さいおうち』を観る。このところ黒木華の追っかけをしていて、何しろ『舟を編む』まで観直しているくらいだから、本人が銀熊賞をとったこの作品を飛ばすわけにもいかない。山田洋次監督作品ということから敬して遠ざけていたわけではないのだけれど、全体にシンプルな筋書きにされていて山田監督らしく薄味であり、タキと時子の関係性などは、ほとんどわからないくらいになっていて、大方は気づかないのではあるまいか。良くも悪くも作家的なつくりで、言ってしまえば原作をひく意味自体あまりないであろう。
黒木華に関して言えば、特に見合い話の席で茶を啜る音に身じろぎするその肩の動きに感心したのだけれど、総じて精度の高い演技といえ、こちらの評価はますます上がる。贔屓目というものかもしれない。