この地は比較的に蚊は少ないほうだと思うのだけれど、踵を刺されるという失態があって、これが痒くてたまらない。ちょうど痒みを感じる人体の仕組みのその直上を狙ったに違いないのである。天晴れなことに。
そして時折、高周波の羽音を立てて耳の周りを旋回していくので寝つかれない。斎藤茂吉が蚊帳の中に紛れ込んだ蚊を翌朝、捕縛することを楽しみに寝ていたのに起きれば見つからないと言っていたそうだけれど、さすがに大人物はこの状況でも寝られるのだと感心しつつ蚊取りを起動する。