『シン・ゴジラ』繋がりで、牧博士こと岡本喜八の『日本のいちばん長い日』を観る。テレビの画面ではずいぶんと見辛かった覚えがあるけれど、リマスター版はなかなか素晴らしい。この157分はきっちり長さを感じる密度だけれど、飽きない。
今にして観ると、こちらも大宅壮一編改め半藤一利の原作を踏まえてよく構成した脚本となっていて、しかしときに情動に傾く原作よりも硬質な印象もあり、その語りはさすがに大したものである。森師団長殺害に黒田大尉なる架空の人物が絡んだりするので、ちょっと油断のならないところもあるにして。この経緯は詳細な調書があるということだが、宮城事件の関係者は自決を除きほぼ総括されていないので昭和の闇が顔を覗かせている感じ。
原田眞人版の山崎努もよかったけれど、笠智衆のときに飄々とした感じのある鈴木貫太郎もいい。三船敏郎の阿南惟幾も悪くないけれど、この自裁シーンを使ったパッケージは任侠ものみたいでちょっとどうかと思う。