『残穢』を観る。小野不由美の原作は未読。竹内結子が演じる劇中の「私」は小野不由美本人を想起させ「夫」は綾辻行人風のメガネをかけているし、平山夢明ならぬ平岡芳明を佐々木蔵之介が胡散臭く演じていたりして楽しい。
怪談投稿の内容を追いかけるうち、事件と事件が繋がって、ずるずると異界の沙汰が引きずり出されてくるという内容は、描きぶりからして白石晃士の仕事かと思えば監督は中村義洋。中村監督といえば伊坂幸太郎の映像化のひとと思っていたけれど、フィルモグラフィーでは『ほんとにあった!呪いのビデオ』のナレーションがリストの大部分を占めていて、どうやらこういう世界にも関わりが深いみたい。
怪談話を探っていくうち因縁に取り込まれていくのだけれど、これを祓おうというよりはもとより解明に軸がおかれているという構造は懐かしい『リング』に似て、怪異を深追いする登場人物の心理は結局、理解できないにして竹内結子の茫洋とした演技プランも面白い。
梅原ナツキこと成田凌がちょっとだけ出演していて、しかし見せ場といえばあんまりな役回りなので笑ってしまう。