砂上の法廷

『砂上の法廷』を観る。キアヌ=リーヴスが父親を殺したとして起訴された少年を弁護する弁護士の役。この人がスーツを着て涼しげにしているのは久しぶりに見たような気がするのだけれど、やはり似合っている。裁判の進展とともに家族内の事件の経緯が徐々に明らかになっていくオーソドックスな法廷ものの体裁で、物語においては証人ともなる母親がキーパーソンであり、いかにも女優然としているけれど、見たことのないひとだと思っていたのである。その声と仕草は少しレニー=ゼルウィガーに似ていると思ったら、当の本人がクレジットされていて、これにはさすがに驚く。最近、整形報道に関するゴタゴタが報じられてた記憶もあるけれど、それを知ってなお判別ができないことがあろうとは思っていなかったのである。人間の容貌識別にかかわる重要なポイントに変更が加えられているはずであり、この研究によって顔認識の知見は一層、進歩するに違いない。
ストーリーの練りは今ひとつであり、思わせぶりな被告の言動や嘘を見抜く特技があるという助手の設定も活きているとは言いがたく、何しろ女優の現在の前にはすべて霞むという按配なので今ひとつという感想ではあるけれど、ぎりぎり水準作という感じか。