終盤

アメリカの大統領選挙は最終コーナーを回ってゴール前の直線に入ったというあたり、これまでの展開では大差でヒラリー=クリントンが勝つというシナリオの蓋然性が一番高くなっていて、まずはひと安心というところだけれど、そのヒラリーが年齢的に2期8年を務めることができるかとか、やがては堪え性を備えた第二のトランプが登場するのではないかとか、大統領が決まる前から次なる心配が提起されていて、まったく先行きは暗いというほかない。トランプがあの一匹だけだったとは思えないと、まるでゴジラ扱いだから人々の心に残したトラウマもやはり大きいのである。
個人的に興味深かったのは、選挙の結果を受け入れるかという質問に対して、これを留保するという態度をとったことにショックを感じる反応がことのほか多かったことで、トランプであればさもありなんという風にならないあたりは、一定のルールの上で民主主義が運営されているという共通認識が窺えて、やはりさすがという気がしたわけである。
いうまでもなく、これまで強行採決をしたことは一度もないといった言説がまかり通る本邦の政治言説と報道のレベルからするとこれは新鮮に映る。