逃げるは恥だが役に立つ

隠しようもなくものごとにハマるタイプで、『重版出来!』に続いて『逃げ恥』の原作マンガもまとめて買い求めた挙句、ちょっとだけ読むつもりで結局、既刊8冊を読破して夜更かし。この原作もなかなか面白くて、絵柄の好みはあるにしてネームがよいのでぐいぐい物語に引き込まれる。ドラマの特徴的なセリフ回しはここで生み出されていて、海野つなみというひとのマンガはこれまで読んだことがなかったけれど、思弁と妄想による語りは飽きない。
そして原作を知るとテレビのほうでは脚本家の野木亜紀子が絶妙な再構成を行なっていることが知れてこれにも改めて感心する。原作の素材を用いながら、ドラマとして説得力のある文脈がつくられているのはこの人の手柄で、例えば最新話の「神仏の前での真情の吐露」はよい意味で視聴者の深読みを許さない状況を設定し、モノローグによって読み筋を限定する以上の効果を与えている。こうした例は枚挙にいとまなく、ガッキーを始めとする役者の好感度の高さは脚本によるところも大きいのではないか。嫌味がないのである。その点では、恐らく難易度が圧倒的に上がる後半でも巧い仕事がみられるに違いなく、今から楽しみになっている。