イギリスのEU離脱にかかわる状況にも緊迫感が感じられる時間帯になってきて、いくつかの分析を読むと、かの国の社会がかかえる問題の写しがみえて興味深い。社会における格差の拡大が、離脱の経済的デメリットに怖れを感じない層を増やし、EUから譲歩を引き出した保守党の目論見を大きく狂わしたという見方には説得力がある。
日々、経済的な不確実性に怯える人々が、持てるものの不確実性脅威論に共感するのは無理があるというのは、何もイギリスに限ったことでない。ストックとして蓄積されてきた政治資産をぶち壊そうという動きは無論、アメリカの大統領選でも現下にみられるものであり、いずれも決壊間近という雰囲気こそ時代の流れというものではあるまいか。
経済に追従する政治を、やがて経済的に分断されたマジョリティが転覆するであろうとは、斯界の論者がつとに指摘していることであり、であれば本邦においても早晩おきる動きであるのは違いない。