トリプル9

『トリプル9』を観る。『ザ・ロード』のジョン=ヒルコートが監督をしていて、世界の終わりこそ来ないけれど、十分に殺伐とした警察もの。舞台のアトランタは世紀末的に荒廃して、役者は個性派揃いなので画面のアクも強い。ロシアマフィアのボスをケイト=ウィンスレットが演じていて、これにはちょっとびっくりした。案外、似合っているのである。
話は明るくなりようもないのだけれど、警官の作戦行動が丁寧に描かれていて戦術も新鮮味があったりするので見応えがある。『ザ・ロード』は好きな映画で、ふたたび暗黒を丁寧に描いているこの監督には好感がもてる。警察官の犠牲者が出たことを伝える緊急コード999を受けて、警官隊が一斉に現場に殺到するシーンの迫力はなかなかで、全体に救いがない感じも悪くない。
一応、ケイシー=アフレックが主人公ということになると思うけれど、このひとも歳を重ねてシブい役者になった。出てくるのは皆イカれた警官ばかりなのだけれど一応、追う側のウディ=ハレルソンも結構いい。