love trumps hate

間違って大統領になってしまった男の、言葉通り勝ち誇った勝利演説を聞いたはいいが、ちょっとトラウマっぽくなってポッドキャストのニュースを聞くのが苦になっている。レーガンが大統領になったときも、タカ派の役者が大統領になるなど世も末、ひょっとしたら核戦争すら起きかねないと心配されたものだし、実際には冷戦が終わったこともまた事実だけれど、だから今回も大過ないという気にはならない。問題は己が言動を恥じないレイシストが、多かれ少なかれ社会の規範を定めていくリーダーとなるところにあって、ことは本邦の現在と奇妙な相似を描いている。これでフランスに極右が台頭することになれば、人類は第一次世界大戦期と同様、大戦争が『大いなる幻想』であると思われた時代を懐かしく思い起こすことになるのではあるまいか。それにしてもこの状況でドイツがわずかに正気を保っていることこそ戦後教育の賜物と思えてならない。
そしてヒラリーがいかに嫌われていようとも、そのメッセージは立派なもので、文明というのは、単に率直な物言いではなく、こうした祈りの積み重ねがある場所でのみ成立するのではないかと思う。