『PAN』を観る。孤児のピーターがピーターパンになるまでの物語というわけで、これもヒーローの誕生譚であり、近頃の経験則がビギンズものにハズレが少ないということを教えている通り、見知ったキャラクターの新鮮なストーリーだけでも観られるし、ファンタジーとしてわりあいよく出来ている。
ネバーランドのイメージはかなり自由な発想によるもので、部分的には『天空の城ラピュタ』を思わせるところはあるけれど、ファンタジーと表裏にある、生きにくい現実をきちんと感じさせるあたりにも好感がもてる。ジョー=ライトは『ハンナ』の監督で、本作もあれとよく似て独特なカットが多いのだけれど、それがまた風変わりな印象を作って面白い。微妙に好き嫌いが分かれる可能性はあるにして、この人の作家性というものであろう。