『SPY/スパイ』を観る。正統のハリウッドスパイアクションがCIA本部の要員によるサポートに支えられて遂行されるというアイディアがまず面白い。腕利きスパイの援護でいわば下積みの立場におかれてきた中年女性が突然、現場に出ることになるのだけれど十分活躍してミッションを貫徹するという話。監督はポール=フェイグで『ゴースト・バスターズ』のリメイクも手がけており本作でも主人公を演じているメリッサ=マッカーシーと組んでいる。マッチョな社会的先入観を批判的に笑い飛ばすというスタンスは両作品に通じるもので、本作もスパイ映画のドグマを取り出してみせて、これがなかなか面白い。いいセンスだと思うのである。ジェイソン=ステイサムとジュード=ロウが悪しきスパイ社会の典型的なエージェントを楽しそうに演じていて、全体にバランスがよくて好感がもてる。