『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を観る。DCコミックスの映画化は『スーサイド・スクワッド』以降も予定が目白押しという話だけれど、本作は『マン・オブ・スティール』の直接の続編となっていて、題名の通りスーパーマンがバットマンとの邂逅を果たし、ジャスティス・リーグへと繋がる話。
もちろん、クリストファー=ノーランが監督をした『ダークナイト』のシリーズとは違う世界の話なので、ブルース・ウェインを今度はベン=アフレックが演じていて、クリストファー=ノーランその人は製作総指揮に回っている。次作以降はベン=アフレックもエグゼクティブプロデューサーに加わるという話であり、中国市場を得た今、ビジネスとしてのアメコミ映画はそれなりに確実な投資先として認識されているのではあるまいか。
映画そのものは152分あるわり、『マン・オブ・スティール』からの接続についての説明は最小限だし、全体に話がわかりにくいという評判はだいぶあったみたい。さらに30分の尺を追加して再編集したアルティメットエディションの方が断然いいという話も聞く。実際のところ説明不足の感は否めず、そもそも登場人物が何を考えて行動しているのかわからない上、重要であるらしいアフリカのシーンもたぶん削られた結果としてよくわからないことになっているので、恐らくアルティメットエディションで観た方がいい。とはいえ、3時間の映画として観直すのは続編が出来てからということになるだろう。その頃であれば、いい塩梅に内容を忘れているのではないか。
『マン・オブ・スティール』はかなり気に入った作品だったけれど、本作も全体のトーンはそれを踏襲していて、ザック=スナイダー監督の重厚感のある画面は悪くないと思うのである。アメコミのコマ割りを想起させる画面もあったりして、派手なばかりでレイアウトを慎重に考える傾向のないマーベルとひと味違う映像化という点で差別化にも成功しているのではあるまいか。こちらの方が断然、好みに合う。
ベン=アフレックのブルース・ウェインは、もはや機動装甲というべきバットマンスーツの投入もあって、クリスチャン=ベイルよりはだいぶ分厚くオリジナルに近い感じだけれど、これも悪くない。ジェレミー=アイアンズが扮したアルフレッドは兵器の開発までしている様子で執事の領分を超え、ずいぶんとカッコいいので、こちらもお気に入り。
ヘンリー=カヴィルのスーパーマンは相変わらず、赤いマントが茶番になっていないくらいの滅多にない二枚目だけれど、ちょっと額の後退が目立つのではないかという気がして、おそらく10年単位のプロジェクトになるであろうジャスティス・リーグを背負いきれるかどうか、その点だけが少し気がかり。