『エクス・マキナ』を観る。ドーナル=グリーソンが人里離れた山荘の研究施設でAIと交流し、人工知能が感情を持ちうるかという観点でチューリングテストを行うという設定のサスペンス。とりあえず、ヘッドホンが有線だったり、カードキーが運用されていたりするあたりに違和感があるくらいの近未来の話で、現実にはアップルがAirPodsと顔認証でこのあたりを軽々と飛び越えているので、むしろその方にまず感心したのである。本編は2015年の制作なので、当時は違和感もなかったに違いない。
高度なアンドロイドとしての外見を持つがゆえの、実存を脅かすような仕掛けも入っているのがサスペンスとしての目玉で、実は人工知能そのものより、違和感のないアンドロイドに驚愕するのが人間というものではあるまいか。少し前、展示会で人間のようなロボットに驚いたらコンパニオンがロボット動作を模していただけだったという話がTwitterに流れていたけれど、ロボットっぽくないアンドロイドを現出することでドラマを作っている点では舞台劇のようでもある。アレックス=ガーランド監督は『28日後…』の脚本家なのだけれど、結末にかけてはいかにもそんな感じ。