ガルム・ウォーズ

『ガルム・ウォーズ』を観る。我々の世代にとっては『G.R.M.』は決して観ることのない押井守の傑作であり、『アヴァロン』や『イノセンス』にある影がわずかなよすがであったのだけれど、ついに降臨することもあるのだから世の中、先のことはわからない。かつて観たパイロットのイメージに始まるものの、ベルイマンかタルコフスキーかという雰囲気を感じる映画になっているあたりは想定線として、終盤には意外にも宮崎駿か庵野秀明かという巨人のイメージがあったりして楽しい。結局のところ、御大の好きなもので構成された映画で、その実写作品にかねてよりありがちな難解さもほどほどで悪くない。個人的な趣味では色彩の設計と光の飽和状態があまり好きではないのだけれど、大方が退屈し始めるだろう第2章あたりはちょっといい。

雪